2/7 辻井伸行&オルフェウス室内管弦楽団 日本ツアー2014 / サントリーホール

2014.03.27 Thursday 20:43
 ずいぶん遅くなっちゃったけれど、このコンサートの感想は書いておきたいなあ、ということで書いてしまいます。

さて、前回から二か月ぶりの、ナマ辻井氏です。
今年の彼は、今日のオルフェウス室内管弦楽団とツアーをして、カーネギーホールでも演奏したとのこと。
辻井氏、またすごい進化しちゃったかも!? と思いながらホールに向かいました。

今日はBプログラム。オール・モーツァルト・プログラムで、曲目はこの3曲です。

ドン・ジョヴァンニ序曲
ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」
交響曲第39番

まずはドン・ジョヴァンニ序曲。
やっぱり当たり前だけど、室内楽は静かで穏やかだよね。
演奏が安定している感じで、落ち着きます。
特にフルートがすごくきれいで、「スー」じゃなくて、「トー」って感じの音で、うっとりです。

オルフェウス室内管弦楽団は指揮がいないって聞いてて、どうやって合わせるんだろうと思っていたんだけれど。
コンサートマスターの人がそれなりにリードしてる感じはあっても、何で合っているのかやっぱり不思議でした。
多少リードしてるからといって、コンマスの人が主導して演奏の色付けをしてるって感じじゃないんだよね。
みんなそれぞれ自由なのに合ってるっていう。

とか考えているうちに、スタインウェイのピアノが舞台の前に運んでこられて、次の曲のコンマスの(曲ごとにコンマスが変わってました)Liang-Ping Howさんと一緒に、辻井氏が登場です。
今日も普通に黒のタキシード。
ピンクもよかったのに。また着てくれるといいけどなあ。

ピアノ協奏曲第26番「戴冠式」が始まります。
ピアノは第1楽章の途中から入るんだけれど、出番待ってるときから、辻井氏がノリノリな感じ。
後ろの楽団が演奏してる音に合わせて、手と身体が揺れてるんだよね。
指が動いてるのは、彼の膝の上のエア鍵盤で、演奏中の音を追ってるからかな? とかも。

そしてついに指がリアル鍵盤に乗って、演奏が始まります。
12月の時もずいぶん深い音を出してるなあ〜って思ったんだけれど、今回はそれが低い音だけじゃなくて、高い音でも深い音を聞かせてくださるんですよ。
マジやばい。
ヴァイオリンの音も、それに合わせるように深くなっていくんです。

なんていうか、辻井氏の音で、「ポポポ」みたいな音は初めて聴いた気が。
「ボロロ」はあったけど。
超精巧な感じ。
しかも今日はまた、出したい音を自由に出してる的で。
深い音かと思えば、第一楽章の終わりは、汗がこっちまで飛んできたかと思うくらいの迫力。
終わった後、後ろのおじさんが「素晴らしい……!」と、隣の奥さんに囁いていました。

第二楽章は、いかにも辻井氏の演奏がハマりそうな曲調だよね〜、とみなさん思うと思うんですが、もうハマってるという以上のハマり方で、超すごかったです。
今までも、辻井氏の音が透明だというのは有名でしたが、なんつうんだろ。透明ガラスだけじゃなくて、曇りガラスみたいなのも入れ込んできてて、あれはやられます。
もっと入れ込んでほしかったくらい。
ともかく、辻井氏得意の彼らしさが炸裂してました。

三楽章もすごかったけれど、すごいとかより、もう途中から異次元の演奏だったと思う。
聴いてたら途中からメッセージというか、映像みたいなのが頭に浮かんできて、ぼんやりしてたら、泣きそうになってました。
あとは気が遠くなって細かいところ覚えてないです。

急に私の話で申し訳ないんですが、なんか私、ポリーニとかリヒテルは大好きで、「うまいなあ震えがくるなあ」と思うんですけれど、聴いてボロボロに泣いたりとかはしないんです…。
で、グールドとかホロヴィッツとかは、演奏の仕方はどうもなんか受けつけ…いや、好きなんだけど、どうも受……いやいや、という感じなんですが、数分集中して聴いてるだけで、もうボロ泣きしちゃうんですよ。だいたいの曲で。
何に泣いてるのか分からないけど、涙が止まらない的な。
辻井氏は今まで私の中では、ポリーニとかリヒテルのカテゴリで、きれいだけどそこまで泣かない感じだったんですが、この曲を聴いて変わりました。
「なんかよく分からないけど、泣ける」のカテゴリに入ってきて、しかももともと弾き方も好きっていう。
これからは辻井氏のコンサートは、ウォータープルーフ(水を跳ね返す)のマスカラで来ないとだめかも。
泣くの我慢して、震えたりしてました。

アンコール1曲目がトルコ行進曲。
モーツァルトつながりだとしても、これは…。
会場内が「えっ。トルコ行進曲!?」という空気になってました。
これも、CDとは別モノすぎるくらい良かったです。

2曲目のショパンの「革命」は、もう本当に心底、素敵すぎでした。
結構これって、彼はアンコールでよく弾いていて、中でも去年の8月に聴いたときは本当素晴らしかったんだけど、それとは異なる次元ですごかった。
「やっぱりエチュードはポリーニが一番だよね」とか言ってる人たちが考え直すに違いない素敵さ。
「辻井氏は音がきれいだけど、表現力がね」なんて言ってる人たちは、あのとき気絶してたと思います。
ピアニストならこういう風に弾きたいんだろうなあ、というのを実現した感じ。

辻井氏はここまでです。

休憩を挟んで、交響曲第39番。
Laura Frautschiさんという女性の方がコンマスでした。
音がまっすぐ天に向かって伸びてるようで、この曲もよかったです。

アンコール1曲目はハイドンの「交響曲第44番第4楽章」。
「戴冠式」のときのコンマスで、きりっとした演奏でした。
室内楽らしい感じ。

2曲目はレスピーギの「めんどり」(組曲「鳥」より)。
可愛い曲だよね。
交響曲第39番の女性がコンマスでした。

アンコールに入ってから、1曲目のコンマスで日本人(かな?多分)のヴァイオリンの女性が、演奏前に曲名を言っていってたんだけれど、この3曲目の前は、「みなさんと音楽がシェアできて良かったです」なんて言ってくれて、こちらこそ良かったです。ありがとうございます。

そして3曲目はマスカーニの「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」。
コンマスはRichard Roodさんっていう男性だったと思うんですが、私はもともと好きな曲なのにくわえて、またしびれるような演奏で、すごくいい感じでした。

さて、来週はオール・ベートーヴェン・プログラムです。
次回も楽しみです。
(……って、感想書くのが遅すぎて、これを書いている今となっては、もう聴いてきちゃったんだけれど)そんな風に来週をすごく楽しみにしながら、この日は帰りました。
素敵な演奏をありがとうございました。

あ、そうだ。帰るときにホテルの入り口で、1曲目のコンマスの方とすれ違いました。
ヴァイオリンケース持ってた。
出るの早いんだなあ〜。
category:コンサート感想 | by:reinacomments(2) | - | -
Comment
こんにちは。 アメリカから~ 私は辻井伸行くんのファンです。
Please forgive me for not being able to write in Japanese.

It is so great to hear someone who obviously know great pianists to be so supportive of Mr. Tsujii. It makes me happy.

Mr. Tsujii is a talent that the world has never seen. Tsujii-san is more than all the great pianists that you mentioned, because he brings his music from a world that only he knows, and does so with great beauty and joy that makes his audience happy. We are fortunate to have his music to enjoy.

どうもありがとうございました.
Thank you so much for your lovely message. I’m sorry for not getting back to you sooner.

いえいえ、obviouslyに分かってるとは到底言えないですけれど、でもそんな風に言っていただけるのはとても嬉しいです。

私も、あなたのおっしゃる"Mr. Tsujii is a talent that the world has never seen"に、100%同意です。
この時代に生まれて、ライブで聴くことができて、本当に幸せだと思っています。

彼は、この1年くらいでもずいぶん音が変わったように思います。
これからもどんどん進化していくのではないかと、ますます素敵な演奏になっていくのではないかと、期待しています☆
  • reina
  • 2014/05/26 4:04 PM








   

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