3/28 辻井伸行 日本ツアー《ショパン・リサイタル》 / サントリーホール1日目

2016.03.30 Wednesday 06:03
「今日は、雨の予報だったのに、なぜかいい天気になってる……!」
「ううむ、辻井氏はそういえば、何となく「晴れ男」属性な感じがするよねえ、、、」
とか、わけのわからないことを考えつつ、ワクワクでサントリーホールに向かいました。

今日の辻井氏は、2月と(たぶん)同じ、ちょこっとオシャレ目なタキシード。
ピアノはいつものように、スタインウェイです。
ピアノに座ってから、ずいぶん慎重に、椅子と自分の座る位置を調整していました。
昔はわりとすぐ弾いてたけれど、最近は(オーケストラとの共演のとき以外は)こんな感じみたいですね。

さて、今日は、オール・ショパン。
今日の曲目です。

【3つのワルツ 作品34】
ワルツ第2番 変イ長調 作品34の1
ワルツ第3番 イ短調 作品34の2
ワルツ第4番 ヘ長調 作品34の3

【12のエチュード 作品10】
第1番 ハ長調
第2番 イ短調
第3番 ホ長調「別れの曲」
第4番 嬰ハ短調
第5番 変ト長調「黒鍵」
第6番 変ホ短調
第7番 ハ長調
第8番 ヘ長調
第9番 ヘ短調
第10番 変イ長調
第11番 変ホ長調
第12番 ハ短調「革命」

【4つのバラード】
バラード第1番 ト短調 作品23
バラ―ド第2番 ヘ長調 作品38
バラード第3番 変イ長調 作品47
バラード第4番 ヘ短調 作品52


1曲目は、「ワルツ第2番」。
けど、1曲目はじまってしばらくは、さすがの辻井氏もまだ調子出ないだろうから……
とか思っている暇もなく、もう、最近の辻井氏の演奏の魅力をすべて詰め込んだような、凛としたきれいな音が響きはじめます。
特に、高音の装飾っぽい音が、もう脳を直撃してシビれさせる感じで、最初からクラクラしてきます。

私の偏見かもしれないけれど、辻井氏のピアノソロのツアーの、東京公演の1日目って、今までは、柔らかいフワフワ系で演奏されることが多かった気がするんですよね。
それで、2日目がかっこいい系だったり。

でも今日は、1日目にも関わらず、最初からかっこいい&美しい路線みたいです。
聞いていて、辻井氏はますます大人になったのかな、って気が──
とか思っている間に、2分すぎくらいからかな、いよいよ辻井氏が乗ってきて、もうすごいとしか言いようのない、ますます素敵な演奏になっていきました。

私たちから見えないところ(聞こえない音??)も全部、辻井色にちゃんと塗りこめているような感じで、だからまとまって聞こえて、「ああ、まさにこれは世界レベルの音だなあ……」と思ってしまいました。

2曲目は、「ワルツ第3番」。
第二次進化(私の考えでは去年末くらい)後の辻井氏らしい、緩急の付け方と、リズムの取り方と、周波数(?)で、ありえないくらい気持ちいい感じでした。
かっこいい系でありながら、辻井氏の、夢の中に引き込んでいくようなタイプの音もますます冴え渡って、うっとりとしか言いようがないです。。

3曲目は、「ワルツ第4番」。
これは、CD「ショパン・コンクール 2005~ショパン作品集」で、何度も聴いたからなあ。。。でも当時でなく今の辻井氏の音だと、ちょっと違うかもなあ。。。?
──とかのんきに思っていたら、もう、全然まったく違いました。
音質そのものが違うような感じで、CDのときも素晴らしかったんだけれど、そこからレベルがいくつも上がってしまったような感じでして。
音が、芯の通った輝きみたいなのをまとっていて、キラキラしていて、しかも芯の強い輝きなのです。
すごすぎ。

ワルツが終わったところで、一息つくと、会場の雰囲気が、教会とか大聖堂みたいな雰囲気になってる…!
辻井氏のパワーのせいか!?

そして、エチュードに入る前に、意外にも辻井氏のトークが入ります。

「みなさま今日はお越しいただきまして、ありがとうございます」
いいえ、こちらこそ☆
って、普通のトークか?
「次はショパンのエチュード。(エチュードの説明をしてから)全12曲を、一つの流れで弾きたいと思っています」
おお。。途中で拍手をしてくれるな、という話ですね!
「途中で、……拍手をしてしまいたくなるときもあると思いますが、──」
うふふ。
観客のみなさんも笑っています。
もちろんありますよ☆
「どうしてもしたくなってしまったら、しょうがないですが、できれば──終わってから──」
先生、了解です☆ 我慢します!


という感じで、エチュードがはじまりました。
エチュードも全曲、「感動のショパン~ヴァン・クライバーン・コンクール・ライヴ」で何度も聴いているけれど、それでも今の辻井氏が弾いたら、だいぶ違うんだろうなあ。。。
全然違うピアニストが弾いてるみたいだったりして(笑)

で、第1番がはじまったら・・・
本当に、全然違うピアニストが弾いてるみたい……!!
って、やっぱり緩急みたいなのとか、辻井氏の内側に脈打ってるリズムの拍みたいなのは変わらないんだけど。
音が輝いていて、それが辻井氏の熱っぽいオーラみたいなのを通して、こっちに伝わってくる感じっていうか。
寒気が止まらないわけです。
しかも、「1番からこんなに飛ばして、大丈夫なのかな……」というくらい、激しくて情熱的。
美しすぎで、やばい、早くも拍手しそうです。
この曲は「滝」って名前で呼ぶ人もいて、「これ滝かなあ??」とずっと思っていたけれど、確かに滝です、辻井氏教えてくれてありがとう。。。

第2番は、ちょっとあまり記憶にないんだけど、とにかくほぼすべての曲が、CDのときに比べると何倍も輝いていたのは間違いないです。

第3番 「別れの曲」も、もちろん良くて、、、情緒的なところとか、辻井氏は感情を抑えた感じで表現するんですよね。そこが素敵。
去年の悲愴の2楽章も、そんな感じで弾いてて、やはり素敵だった覚えがあります。

で、「別れの曲」は、2、3年くらい前かな、アンコールでよく弾いてくださいましたけれど、そのときとも全然違う感じでした
テンポがゆっくりで、中盤はますますゆっくりに聞こえて、なんか重厚な感じすらしたなあ。
私はこの曲は、あまりゆっくりな演奏のは、今までは好きじゃなかったけれど、今日を境に、「ゆっくりな方が全然いいよね」って風に変わりました。。。

第4番、これは、辻井氏のCDを聞いて大好きになった曲です。
他のピアニストよりも、ずっとずっとかっこよく弾いていて、、、これも今日は、CDとは違う感じで聞かせてくれるのかな?
と思ったら、これはCDのときとほぼ同じ解釈で弾いている気がしました。すでに完成形だったのか!?
でも今の辻井氏の音だから、もうかっこよさがやばすぎで、ちょっと「影」を思わせるところもあったりして、いいんですよね。
艶っぽい系のかっこいい感じ?
「ほかのお客さんも、みんなやられてしまったに違いない」と思っていたら、曲が終わったあと、拍手をしてしまった人が……!(笑)
だよね〜。分かります。

第5番 「黒鍵」は、私はずっとエチュードの中では好きな曲じゃなかったんですけれど、今日聞いたあとでは、「うわ、これ、素晴らしい曲ですよね?」と普通に思いました。

第6番は、静か系なのだけれど、昔の辻井氏のように、ひたすらきれいに仕上げるのではなくて、、、面白い解釈で弾いてる? と思った気がします。
いろんな濃さの影が見える、みたいな。

第7番は、なぜか涙が出そうになった気が。
これがよかったというよりは、今まで素晴らしさの積み重ねが、ここであふれたという感じかもしれないけれど、なんだか感情をすごく揺さぶるような弾き方だったかも。

第8番も、面白い解釈だと思ったけれど、どう面白かったのかちょっと覚えてないです。。。
ラストがかっこよかったです。

第9番も、心地いい感じで美しかったです。
辻井氏に任せて預けておけば、心地いい世界に行ったままになれる、みたいな謎の信頼が生まれる感じ。
魂の迫力?みたいのを感じる弾き方だったかも。

第10番も、辻井氏の美しい音に、頭も心も預けたまま。

第11番は、もともと好きな曲ですが、ここまで素晴らしい曲とは思わなかったですよ。
この曲の奥に埋まってる秘密を、辻井氏が丁寧にいっぱい掘り出して、それを弾いてみせてくれた感じ。

第12番「革命」は、昔から、そして最近でもアンコールでよく弾いてくれて、年を経るごとに素敵な演奏になっていくのを聞かせていただいていたけれど、、、
それにしても、今日の演奏はまた一段とよくて、寒気が止まりません。足の方まで寒気が来る感じ。
最高すぎです。
身体中がしびれているうちに、いつの間にか休憩になっていました。

休憩ってことでトイレに向かったんだけれど、なんだかぼうっとしてしまって、頭が全然働いていないような感じで、気づいたらホールを出てしまっていました。
ぼうっとしすぎか?


というわけで、後半です。

バラード第1番は、「CDと全然違う!」というのは、もうそろそろ書かなくていいかもしれないですが、やっぱり全然違ってました。
格調高い感じ、かなあ。でも分かりやすい感じ。
磨きのかかった王道、みたいな。
その中で、ちょいちょい辻井氏らしい解釈もあって、これはお客さんも満足だろうって思っちゃいます。
曲がおわった途端に、「ブラボー!」の叫びが聞こえてたなあ。。。

バラ―ド第2番は、いろんな種類の辻井氏の音を楽しめて、集中してないともったいないような印象でした。
何度も何度も寒気が来て、私はバラードの中ではこれが一番、好きな演奏だったかも。

バラード第3番は、ちょっと忘れてしまったけれど、ともかくよかったのは間違いないです。

バラード第4番は、、、
ああ、この曲って、悲しいだけの感じに聞こえてたけれど、「とぼけた悲しみ」みたいな感じなのかなあ……?
あまり真面目に弾かない方が、かといって、ふざけてもいないような、なんかそういうバランスの難しいところが、すごくぴったり来ている弾き方でした。
しかも、運命の怖さみたいのも聞こえてくるし。
すごいなあ、、、とただ圧倒される感じ。


さて──またぼうっとしているうちに、アンコールです。
きっとショパンだよね、ノクターンかな? たまには、また8番が聴きたいなあ。。。
と思っていたのですが、20番でした。
これはここのところ、アンコールで頻繁に聞かせていただいているのですが、今まで聴いた中で一番よかったなあ。。。
嘘のようにすごい演奏。。。と思いました。
(ちなみに私はそこまでこの曲好きじゃないんだけど、それでもそう思いました。)

ここで、トークです。
辻井氏は、ショパンが恋人と一緒に過ごした場所で、ショパンが弾いていたピアノを弾いたそうです。
おおお、、、確かいつかは、ラフマニノフの服を着たとか言っていたような。いろいろな機会があるんだなあ、さすが。
「ショパンはこの街で、何を考えて作曲してたんだろうなと思いました」と言っていたけれど、何を考えていたと、辻井氏は思ったのかなあ。。。
その場所の名前にちなんで辻井氏が作曲した、「風の家」がアンコール2曲目でした。

きれいな旋律の曲が、辻井氏の硬い芯の通ったタッチで演奏されて、素敵でした。

3曲目は、リストの「ラ・カンパネラ」
きれいな曲の直後で、私の耳がそのモードになっていたせいかもしれないですが、とにかく出だしがものすごいきれいでした。
これもアンコールでよく弾いてくださるのだけれど、聴くたびに素敵になって、前回聴いたときも本当にすごいと思ったのだけれど、今日はそれ以上に素敵で、とても好きな演奏でした。

辻井氏の今回の演奏は、本当にすごかったです。
2月のコンサートのときも、そういえばそう思ったんでした。
もう今後の、バージョンアップしまくった辻井氏のコンサートでは、帰りがけに「本当にすごかった!!」と思うのが当たり前になっていくのかもしれません。

30日は、東京公演の最終日。
ますます素敵な辻井氏の演奏が、今から楽しみです。
category:コンサート感想 | by:reinacomments(2) | - | -
Comment
From America -- hello again!
優れたブログ記事 -- どうもありがとうございました。
I too love the nocturne No. 8 ... I hope you will get to hear it at the next performance.
Thank you so much for your message !

You like the nocturne No. 8, too?
I'm very happy to hear that.

Unbelievably, I heard the nocturne No. 8 at the next day's performance.
I greatly appreciate your message.
  • reina
  • 2016/09/05 12:41 AM








   

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