7/16 辻井伸行 プレミアム・リサイタル≪ショパン≫&≪リスト≫ / 紀尾井ホール

2015.07.17 Friday 05:56
今日は三か月ぶりに、辻井氏のコンサートの日です。
朝からとても嬉しくて、午後も嬉しい気持ちで、紀尾井ホールに着くころには、「ああ、この世に辻井氏が生きてるって、本当にありがたいことだなあ」と謎の感謝をささげていました。

紀尾井ホールに入り、感謝を一通りやり終わったころ、辻井氏が舞台に入ってきました。
今日はチャコールグレイのタキシード、髪は3月のときほど固めてない感じだけれど、なんだかいつもより大人っぽく見えます。
余裕がある雰囲気というか、貫禄がある感じ。
拍手が終わると、今日の辻井氏はあまり椅子を動かさず、わりとすぐに弾きはじめました。


今日の曲目です。

ショパン:
アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
ピアノ・ソナタ 第2番「葬送」

リスト:
ハンガリー狂詩曲 第6番
ピアノ・ソナタ ロ短調

1曲目は「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」です。
13年年末から14年3月までのツアーで演奏していた曲だけれど、そのときとは演奏全体の印象が違うって感じでした。
辻井氏は、13年夏くらいから14年夏にかけて、現在のバージョンに進化したと私は勝手に思っていて、その勝手な解釈でいくと、前回の演奏は進化の過渡期だったことになるのかな……。

たとえば出だしとか、以前は「きれい〜!」という感じだったのが、今は余韻がお互いに引き立て合うような、奥行きある音で、一言では感想が言えないかもです。
きれいで、深くて、きりっとしてて、しかもふわふわで、見たことのないところへ連れて行ってくれる感じっていう……。

辻井氏はこの曲を、きれいめ&のびのびした感じで弾いてくれるときと、情熱的&攻めの感じで弾いてくれるときとがある気するけれど、今日は前者かもでした。
……なんて考えている余裕も実はなかったほど、演奏が素敵すぎで、途中で例によってぼうっとしてしまい、
「もう何弾いているか分からないけれど、とにかくありえないくらいすごい」
というだけの感じで、──細かいけれど、「ララシラ」を引き立たせるところの弾き方が、なんか好き、とかぼんやり思っている間に、──気付いたら曲は終盤になってました。

最後はCDと同じくらいか、それ以上にスピードが速くて、しかも澄んだ音で、芯の据わった音で、奇跡すぎると思いました。

ハンカチで鍵盤をふいた辻井氏。2曲目の「葬送」がはじまります。
これも、2013年年末から2014年3月までのツアーで演奏した曲です。
しかもあのときも、「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」の直後だったような。

でも第一楽章から、もう前のときと全然違うんだよね。
前のときもすごくよくて、このブログにもそう書いていて、情熱が伝わってくる感じだったけれど。
けどもう今日のは、情熱が伝わるどころじゃなく、いや情熱も伝わるんだけれど、よくわからない大きなすごいものが現れて、客席を圧倒してるような感じでした。

第二楽章からは、聴いているうちに、何か大きくて硬いものが心の奥まで刺してくる? みたいな感じになってきました。
3月の「熱情」のときにちょっとそうだったけれど、今回ははっきりそういう感じです。(逆に、昔の音は、ふわっと心を撫でてくる感じだったような?)
その感触を味わったときに何となく、「辻井氏はもう誰が聴いても世界トップレベルのピアニストなんだろうな」という気がしました。

第三楽章は余韻同士の響き合いが美しかったけれど、これは最近の辻井氏の演奏では、もはや当たり前なのかな?
昔からの艶っぽい音と、最近の深い音が織り交ざって響いて、もうたまりません。

第四楽章は、辻井氏の解釈はやっぱり好きだなあという感じで、でももう少したってからの演奏も聴いてみたいな、というところで終わりました。

ここで休憩です。

トイレを待つ列で、マダム風のおばさまが、
「まあ〜本当に柔らかい音でね! しかも強くてねえ!」
と辻井氏の音を絶賛しておられました。
同感でございますと、心の中で頷きつつ、ふと気づくとトイレの中に、ホールのピアノを調律する音が響いていました。
今日はコンサート始まる前にも、舞台の上で調律やってました。
ライブ録音してたせいかな?
書き忘れていたけれど、ピアノはいつものようにスタインウェイでした。

後半の1曲目は「ハンガリー狂詩曲 第6番」です。
もともと辻井氏は、音が多彩だと思うんだけれど、音の種類がまた三倍くらいに増えた気がします。
なんか高音だけでも五種類はあるよね?(もっとか?)
この曲は、いろんな音色が気持ちよく混ざって、素敵でした。

一昨年の夏に河口湖でこの曲を聴かせていただいたときは、素敵な野外劇場だったんだけれど、すぐ外で花火が響いていて、ちょっと演奏がよく分からなかったので(でも辻井氏は全然花火に動じていなかったけれど)、あらためて聴けてよかったです。

2曲目は「ピアノ・ソナタ ロ短調」。
辻井氏の演奏は、豪華というか雄大というか、格調ある感じが加わりつつあるような?
この前の3月のときの「熱情」でもちょっと思ったけれど、この曲は間違いなくそういう感じでした。
あと、辻井氏の演奏は空っぽい感じが多いけれど、この曲は空っぽい広さもありつつ、水っぽかったというか、しっとり潤っている感じでした。

そして、アンコール。

1曲目はリストの「愛の夢 第3番」。
いつもよりダイナミックな「愛の夢」で、こういうのもいいですよね。
いつもの繊細な感じもあったし。
でもこのダイナミックなタッチで、むしろ「革命」を弾いてほしいなあと思ってしまいました。
辻井氏の「革命」は、誰よりも最高だと思うのです…。

と、「愛の夢」を聴きつつ、「革命」に浮気しているうちに、辻井氏のトークがはじまりました。

「紀尾井ホールは響きがいいので、気持ちよく集中して弾くことができました」とのことで、こちらも何となく嬉しい気分になってしまいます。
そして、「みなさまいかがでしたでしょうか」と言う辻井氏に、客席が拍手して、辻井氏が「みなさまの盛大な拍手にお応えして──」と、次の曲名を言うという、いつもの流れが来ます。
次は自作曲かな。
それとも次で最後なら、そしたらショパン?
と思っていると──
「みなさまの盛大な拍手にお応えして、ショパンのエチュードから「革命」を演奏します」

え? ……え? ……か、革命? えっ……!

というわけで、アンコール2曲目は「革命」でした。
すごく嬉しかったです……辻井氏、ありがとう……。
素晴らしすぎて何も言えないというか、これほど魂に来る「革命」って、ないんじゃないのかってくらいでした。
去年2月の「革命」が今までで最高によかったと思っていたけれど、今日もよかったです…。
辻井氏のエキスのうちの、「艶っぽい」「かっこいい」「きれい」がちょうどよく混ざってる感じでした。
他にも何か秘密のエキスが混ざっているのかも。。。?

終盤で、なんか聴いたことのない不思議な音が響いてました。
なんだろう?
また、辻井氏進化の予感……なのかな?


という感じで、今日もとっても良かったです。
安定して素晴らしいっていう感じでした。

さっき、「辻井氏はきれいめ&のびのびした感じで弾いてくれるときと、情熱的&攻めの感じで弾いてくれるときがある」と書きましたが、だいたい、東京の1日目はのびのびで、2日目は攻めたダイナミックな感じが多いと、勝手に思ってます。
2日目の明日はダイナミック路線かな? なんてね。

明日は行かれないけれど、きっとまた素敵なんだろうなあと思います。
category:コンサート感想 | by:reinacomments(4) | - | -
Comment
こんにちは。 アメリカから~ 私は辻井伸行くんのファンです。
Please forgive me for not being able to write in Japanese.
I am happy that you are still a fan of Tsujii-san. Thank you for the blog post.
Thank you so much for your message.

I am happy too that you are a fan of Tsujii-san!
I will always be a fan of Tsujii-san.
  • reina
  • 2015/09/21 6:52 AM
私は、25日の演奏会に行ってきました。辻井伸行氏の演奏、久しぶりでしたが、がらりと印象がかわりました。幅が出て、重さがましたという印象でした。
  • 阿弖流爲
  • 2016/03/02 5:51 AM
こんにちは。コメントありがとうございます。

本当ですね、音が全然変わって、演奏の幅も出て、ますます素敵になったなあと思っています。。
  • reina
  • 2016/03/30 6:15 AM








   

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